モルフォ蝶
2008年 10月 30日
ガラスモザイク教室のY・Tさんは今蝶々のモザイクを作っています。とてもキレイな蝶々の標本が家にあるそうで、それを作っているのです。携帯で撮った写真を見せて呉れたのですが、なるほどキレイな蝶々です。ウルトラマリン色、いや、ラピスラズリ色の部分ともっと鮮やかな明るいブルー(コバルトブルーを鮮やかにした色)の部分がありました。それをガラスの色で表現するのは難しそうだけれど、ガラスも今はかなり鮮やかな色があるので、近いものは作れるだろうと思っていました。出来上がりつつあるY・Tさんの作品を見てみれば、かなり奇麗な色が出ています。
今日はY・Tさんがその蝶々の実物を持ってきてくれました。南米のペルーのお土産だそうで、どんなにキレイなんだろうと期待していました。 ところが……です。開けてびっくり!
それは想像を遥かに超える美しさだったのです。教室中が驚嘆の声に包まれました。目の醒める様な、否、夢の中にしか出て来ないような奇麗さでした。見る角度によって色が変わります。光の当て方で、濃いブルーから明るいブルーに変化するのです。その色の鮮やかなことと言ったら……、こんな蝶々が生きて舞っている姿を想像すると……、そういう土地がこの地球上に存在するなんて信じられません。
モザイクの蝶々が霞んでしまう感じがしました。この色彩はガラスではちょっと表現出来そうにありません。本物さえ見なければ、モザイクの蝶々も充分奇麗なのですが、比べてしまうとどうしても………。
でも、これは大事なことなのですが、モザイクと本物の蝶々は別物と考える必要があります。モザイクはモザイクで画面の中に調和と美しさを求めなければなりません。比較するものでは無いのです。元々モザイクも含めて絵画とは、たとえ自然の模倣から始まったとしても、最終目的は模倣ではありません。独自の価値:美の法則と調和、を実現するものなのです。鮮やかさは無くとも、個々の色彩の役割をはっきりさせれば、すべての色が響き合って美しい画面が作れます。逆にどんなキレイな色でも組み合わせが悪ければ、気持ち悪いだけです。与えられた色の組み合わせで、美しい調和を作ることが重要なのです。モルフォ蝶の実物には背をむけて、自分の作っている画面に正面から向き合いましょう。そうすれば、また別次元の美しさを見付けることが出来る筈です。
それにしても奇麗だなあ、この蝶々。
by mosaiquedodeca
| 2008-10-30 08:39
| ガラスモザイク教室