猫ねこ展
2011年 06月 25日
千葉県は匝瑳(そうさ)市に松山庭園美術館という美術館があります。庭園美術館と言えば目黒の東京都庭園美術館を思い出しますが、ここは個人の美術館で、山の中の細い道を抜けてようやくたどり着く、ちょっと辺鄙(失礼)な所にあります。1年程前、近くの美味しいと言われている蕎麦屋を探して食べに行った時に、置いてあったパンフレットを見て尋ねました。蕎麦屋はまあまあ美味しかったですが、感激する程ではありませんでした。しかし偶然見つけた美術館は結構面白く、楽しめました。庭園美術館というだけあって日本庭園の中を歩いて展示館に辿り着きます。中には色んなものが展示してありました。古い油絵(ドラクロアの小品)などもありましたが、中でも良かったのは焼き物でした。詳しく無いので分かりませんが、「なんでも鑑定団」の中島誠之助さんがうなりそうな美しい物がありました。おそらく中国か朝鮮のそれなりのモノと思われます(出所の説明文を見たら聞き覚えのあるようなナントカチンとかの文字があったような気もします)。
美術館の持ち主、コノキさんがいらっしゃって、コーヒーをいただきながらお話をさせていただきました。置いてあった彫刻の作品集を見ていたら、なんとその作者がコノキさんなのだそうです。バイクや車、扇風機やその他の機械の一部といった、いろんな廃材からとてもユーモラスな作品を作られています。話が盛り上がって展示室の奥のアトリエまで見せて頂きました。図版には無かった実物の作品を、完成品だけでなく作りかけのものまで沢山見せて頂きました。
かつては何かの機械だった廃材なので、歯車だったり、パイプだったり、出来上がっている形を組み合わせて、あるいは一寸加工して作品にしています。なんでも出来そうですが、どんな印象の作品になるかは案外思うようには行かないものだろうと思われます。笑える作品にしたいと思っても、不気味になってしまったり、人を驚かすような恐い作品を作ろうとしても、笑ってしまうような作品になったりするのです。大袈裟に言えば作者の “潜在意識”に左右されるので、人柄が反映されたり、その時々の気持ちのありようで変わってしまう部分があります。コノキさんの作品はどれもちょっぴりユーモラスで、見ていてとても楽しくなります。邪心が無く見る人を幸せにしてくれる作品で、きっと本人のおおらかな人柄が反映されているのでしょう。
帰り際に、毎年猫の展覧会をやっているということをお聞きしました。猫に関する作品があったら参加しませんかと言われて、出品する約束をして帰りました。
今年に入って間もなく出品の案内が送られてきました。参加の通知をしたら、3月11日の震災です。匝瑳市と言えば千葉県内でも津波の被害を受けた旭市のすぐ近くです。展覧会は予定通りに実施するのだろうか?と心配しました。しかし4月になってから、「こんな時だからこそやります」という旨の連絡が来ました。鏡の周りに猫の模様を配した作品を2点送りました。なかなか見にいけなかったのですが先日ようやく見に行って来ました。
「猫ねこ展」には百人くらいの人が出品していました。最初に入った展示室で見覚えのある作風の作品を発見。
彼は猫を題材にした作品を沢山描いていて、猫作家と言っても良いくらいの人なので、ここに出品しているのは考えてみればあり得ることでした。最近は連絡を取っていないので出品しているとは全く知りませんでした。
もう一点
2人の作品は、知人であるという身びいきか他の作品よりレベルが高く見えました。下は私の作品。
展示室を進んで一番奥の部屋(コノキさんのアトリエを仕切って展示室にしてありました)で作品を見ていたら、何処からか「にゃあ〜」という鳴き声が聞こえてきました。最初は、展覧会に合わせてカセットテープか何か仕込んであるのかな?っと思いましたが、こちらが「にゃあ〜」と返事をすると、また『にゃあ〜』と答えます。
どうやら間仕切りの向こうに猫が居るようです。
居間に戻ってコーヒーを頂いていたらここにも猫が居ました。
ここには全部で6匹の猫が住んでいるのだそうです。今日はその内4匹と会うことが出来ました。彼等は彼等でちゃんとお客様をもてなしているのでしょう。作品群より、むしろこっちの方が展覧会の主人公かも・・・。
by mosaiquedodeca
| 2011-06-25 06:34
| 展覧会情報