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ガラスモザイクに関する様々な事を綴り、紹介するブログ


by mosaiquedodeca
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ボタンを押して横断歩道を渡る猫

 モザイクハウスで飼っていた猫のプータはとっても頭の良い猫でした。犬のクーコは、道路が危ないという事をあんまり理解している風ではないのですが(ある事情があってトラックを見ると怒って追い掛けてしまいます。車輪に呑み込まれそうになる程接近するのでいつもヒヤヒヤします)、プータははっきり道路とその他の場所の違いを理解していました。いつも道の端っこを歩き、車通りの多い時間帯にはそもそも道路に出ません。道路を歩いているときでも、車が来たら脇の草むらに避難してじっとやり過ごしています。道路を横切る時には、伸び上がって遠く迄見渡し、車が来ないか確認してから渡るのです。小学生のように「右を見て、左を見て、もう一度右を確認して」やっと渡るという具合です。慎重なのか、臆病なのか……猫は耳が良いから車が来るかどうかは音だけで判る筈なのに。
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         玄関先で出掛けようかどうしようかと思案中

 今や日本中どこでもそうだと思いますが、田んぼに囲まれたこの辺りの道路では、よく動物の礫死体を目にします。リスのような動物(フェレットでしたっけ?)だったり、極まれに犬だったりタヌキだったりしますが、圧倒的に多いのはやはり猫です。プータを飼い始めた頃、車で走っている時に少しでもプータに似た猫の死骸を見るととても不安になりました。家に帰ってプータが居るかどうかを確かめるまで、いつもドキドキしました。プータの行動範囲を超えた地域で死骸を見ても、なにか事情があってそこまで来たのかもしれないと考えて、安心はできませんでした。死骸を目にした日に家に帰ったら ”プータが居ない” なんて事があったりすると不安でしょうが無くなります。バイクに乗って引き返して屍骸を確かめに行ったことも何度かありました。毛の色模様をじっくり見てプータで無い事を確認するまでは安心できなかったのです。慎重なプータが車に轢かれるという事は殆どあり得ないと知ってからも、プータだって猫だから、なにか緊急事態が起きてパニクって、道路に飛び出して車に轢かれないとも限らない、と思っていました。
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           ようやく意を決してお出掛けです

 ある時、家の前で急ブレーキの音がしたので外に出てみると、近所の奥さんが車を止めて青くなっていました。どうしたのかと訊いたら、猫が道路に飛び出してきて轢きそうになったというのです。間一髪轢かずに済んだらしいのですが、問題はなんで急に猫が飛び出したのかということです。飛び出した猫は近所のYさん家の猫だったらしいのですが、プータがその猫を追い掛けていたと言うのです。プータの方は道路の直前で止まったといいます。これは家内も何度か見た事があったらしく、 ”プータは道には車が来るって分かっていて、直前でピタッと止まるんだよね” って言っていました。(※)

 その頃は近所でしょっちゅう猫が車に轢かれていて、猫好きのYさん家には5〜6匹の猫が居たのですが、半分位が轢かれて死んじゃったと聞いていました。実は、プータは我が家でちゃんとご飯をあげているにも拘らず、時々Yさん家でもご飯を食べていました。Yさん家はお子さんが猫アレルギーなので猫は全員外飼いで(もっとも、そのお子さんが猫を拾ってくるのですが…)、庭で餌をやっていたのですが、プータはそこの猫達を押し退けて、いつも真っ先にご飯を食べているという事を聞いていました。プータはYさん家の猫達の中でも、当然ボスなのでした。
 なんでYさん家の猫の話をするのかというと、ふとある疑念が頭をよぎったからです。否、いくら何でもそんな事は無いと思うのですが。プータは確かに頭良いけれど…、まさか気に入らない猫がいたとしても、意図的にそんなこと出来る訳無いですよね。いくらプータでも………猫なんだから。

 プータは、ついそんな疑いを持ってしまう程賢い猫で、何でも解っているような感じのする猫でした。表情からして隙がなく、かといって荒んだ顔でも無く、肝が据わっていて何事にも動じる事の無い、誠に天晴れな猫でした。何だか自慢ばかりしているようですが、ホントにびっくりするような事が多々あったのです。もしかしたら、あんまり悪さをするので神様が懲らしめに猫に姿を変えてしまった、どっかの国の王子様かなんかじゃ無いだろうか?って気がする位でした。言葉も全て理解しているように感じました。たとえば、あんまりプータが可愛いので家内と二人でプータのことを褒めちぎっていると、いつも居心地悪そうにそっぽを向くのです。「そんなに面と向かって言われると照れるじゃないか」って顔をするのでした。…えっ、ジロジロ見られたら、何を言っているのか分からなくても、気まずい感じになるに決まってるって?…そうかなあ………でも、そうかも。
 そう言えば、昔勤めていた所でも猫好きな人が何人も居たのでよく猫談義をしたのですが、ついプータの頭の良さを自慢してしまって、こんな事を言われた事がありました。「うちのプータは頭がいいんだよ、道路を渡る時なんか」って言いかけたら横で聞いていた同僚のIさんが即座に遮って、ニヤニヤしながら『オグロさん家の猫はスゲーんだぜ!ボタンを押してから横断歩道を渡るんだぜ』って。
 まったくもう!、莫迦にしてるけど、プータはホントに賢かったんですよ。



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※ そうかと思うと真逆の行動を取る時もありました。車で出掛けて帰った時に家の前の道路の真ん中にプータが寝っ転がっていました。危ないのでゆっくり進んで退かせようとしたのですがジッとこちらを見て動かないのです。仕方ないから私が降りて抱きかかえました。何だったのでしょうか? 自分家の車と分かって止まってくれると確信していたのでしょうか。確かにその場所は見晴らしは良いけれど道路の曲がり角で、スピードを落とす場所なので、猫が居たらどの車も止まるとは思うのですが・・・。それにしてもあの悠然とした態度(太々しいとも云える態度)は何でしょうか? 完全に見切っているという感じでした。


by mosaiquedodeca | 2009-03-06 08:21 | 猛描プータと愛犬クーコの話