ガラスモザイクに関する様々な事を綴り、紹介するブログ


by mosaiquedodeca
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モザイク絵画

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 2〜3年前あたりからガラスモザイクで “絵画” を描くことをやっています。
以前からそれをホームページに掲載したいと思っていたのですが、なかなか出来ませんでした。ようやくUPしましたのでご覧になって下さい。(上の写真はその一部を抜粋しました)アトリエドデカのHP:モザイク絵画

                —雑感—

 油絵のように自在に色を作れたり、筆で細かく描いたり出来ないというのがモザイクの良いところです。油絵具を使えば、見えたものをそっくりに画面に再現することは簡単ではありませんが、充分可能です。自分で言うのも何だけど、私も結構出来ると思います。しかし見えたものをリアルに描くと言っても、17世紀のオランダやスペインのリアリズム絵画(スルバラン等の)などは素晴らしいと思いますが、近年のリアリズム絵画と呼ばれるものに心を動かされることは殆どありません(※)。いわゆる写真的なリアリズムには興味がないのです。それは、“絵画” としての空間が画面に表されていなければ“リアリズム”とは思わないからです。では、絵画の“リアリズム”とは何であるか?・・・を話し始めると長くなるので 《色んな絵画の例を持ち出さなくてはならないし、視覚の原理(脳が空間や物をどのように認識するのか)も説明しなければならなくなるので》 やめます。

 私はちょっと小器用なところがあって、自在に扱える材料を使うと、どうも絵やデッサンがチマチマしてしまってどんどんつまらないものが出来ていくのです。家内からは「せこい絵だ」なんて言われてしまいます。中途半端な写実絵画になってしまうので自分でも嫌気が差すのです。若いうちからそうで、20代後半あたりから写実的な絵はあんまり描かなくなり、壁画あるいは壁画規模の絵を主に描くようになりました。考え方も変わり、「絵画は “構成された四角いオブジェ” である」なんてことを言っていました。もう少し正確に言うと “3次元空間のイリュージョンを構成した四角いオブジェ” なのですが当時は乱暴にそう言っていました。

 壁画を教わったのはパリの国立高等装飾美術学校にいた時で、フランスのアカデミー会員のジャック・デピエール教授からでした。25歳でした。壁画技法で好きになったのはフレスコ画とガラスモザイクでした。フレスコは石灰と砂のモルタルが生乾きの内に描き上げなければならず(後で加筆出来ない)一日に描く面積が限られるので、大きな画面は分割して描くことになります。従ってしっかり下絵を準備してからでないと始められません。ガラスモザイクの壁画は言わずもがなです。壁画をやる様になってからは下絵を準備する事の比重が実際に描く行為よりも大きくなっていきました。油絵でもそうでしたが、一層です。

 描くという行為には官能的な喜びがありますが、画想を練る時は創造する喜びがあります。出来上がりを想像しながら下絵を描くのは、少年時代空想癖のあった私にとってはとても楽しい仕事です。それこそが一番重要な部分と言えるでしょう。私は下絵のすべてを保管しています。小さい落書きのようなものもです。そこには、出来上がった作品よりもより鮮明に、脳の中で何が行われていたかが見えるからです。

 “3次元空間のイリュージョンを構成した四角いオブジェ” を生み出す為の下絵は紙と鉛筆と暇があればどんな時でも出来ます。紙と鉛筆が無ければ頭の中だけでもアイデア自体は作れます。最近は下絵が溜っていて制作に手が回らない状態です。制作はある程度まとまった時間が必要だという気持ちがあって(実際はそんなことないのですが)、中々手が付けられないのです。

 しかし、そろそろ制作したいという気持ちがいっぱいになって来たので、とりとめの無いこの文章を切り上げて、今からアトリエに行こうと思います。制作には目と手の細かい神経を使って脳みそをフルに使います。それは実に官能的な仕事なのです。さあ〜官能にひたるぞ〜。


※ 近年のリアリズム絵画の一部は作者の官能的な喜びは感じますが、芸術の本来の価値である創造性があまり感じられないからです。
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by mosaiquedodeca | 2015-11-20 15:42 | ガラスモザイクの制作 | Comments(0)