ガラスモザイクに関する様々な事を綴り、紹介するブログ


by mosaiquedodeca
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カテゴリ:ガラスモザイクの制作( 50 )

蛍の写真

 ちょっと前の記事で、 シャンプーをサボった時の我が家の犬の匂いが、フランスパンの香ばしい香りから “ソーシソン(サラミソーセージみたいなもの)” の匂いに変るというような事を書きました。記事を書いた事が引き金になって、また無性にソーシソンが食べたくなってしまいました。しかし東京にでも出掛けないと手に入りません。モヤモヤしていたところ、思いが通じたのか、偶然日本に来ていたフランス在住の友人からお土産に頂きました。かつて我が家を訪れた時、クーコ(シャンプー前の)の獣臭を「靴下の匂いだ」と言って笑っていたその友人が日本を旅行中で、私に会いに来てくれたのです。

 今日はその友人、M君(※1)の作品について書きます。
彼はこの夏一ヶ月程日本の地方をあちこち回って蛍の写真を撮っていました。実は昨年の夏も蛍の写真を撮りにきていました。しかし蛍を追っかけて各地を回っていて、スケジュールに一日の余裕も無かったそうで、会えませんでした。今年は一日だけ空けて会いに来てくれました。その日私は「千葉こどもの国」でガラスモザイクの体験教室を開いていました。そこにわざわざフランス人の奥さんと一緒に訪ねてくれたのです。忙しいかも知れないので「あんまり話しは出来ないかもしれないよ」と言いましたが、それでも構わないということでした。子供達の体験指導の合間に話しを聞いたところ、昨年撮影した蛍の写真を作品にしてパリで展覧会を開いたのだそうです。

 その作品を見せてくれました。私の第一印象は “?” でした。プレゼン用に小さく印画されたその写真は白い額縁マット紙に囲まれた真っ黒の画面でした。そして何やら一部に粉がこぼれてしまったような小さな白い点々。言ってみれば、黒い紙に白い埃がついてしまったような感じ。そっと吹き飛ばしてキレイにしなくっちゃ・・・と思わせるくらいの微かな埃。
 蛍の写真というので私は色付きの写真を想像していました。青緑色の奇麗な光が飛び交う幻想的で奇麗な写真を。しかし私が見たのは唯々、真っ黒な紙でした。

 しかし、蛍イコール奇麗な色というのは固定観念なのですね。小さな写真なので分からなかったのですが、じっと見ていると画面の下の部分に、眼に見えるか見えないかくらいの薄い線が交錯しています。それはどうやら手前の草むらのようです。展覧会の時はもっと大きな画面の写真が飾ってあり、その前に立って眺めているとやがて眼が暗闇に慣れて色んなものが見えて来るのだそうです。確かに落ち着いてじっくり見ると何か見えて来そうです。なるほど、彼の表現したいものが分かった気がしました。


 私はガラスモザイクで絵画を描いています。ガラスモザイクは色んな色のガラスピースを並べて作ります。近くで見ると個々のガラス片が宝石のように美しく光り輝いて見えて、その材質感(物質としての存在感)に魅了されます。画面からの距離が遠ざかるに連れて、ガラス片だと思っているものが他の物(描かれている物)の一部に見えて来ます。遠くから眺めるとそれはもう、パンだったり、チーズだったり、薬缶だったり、炎だったり・・・。物質の色や質感が、その配置の妙によって人にイマジネーションを喚起させ、絵画が成立します。
 色ガラスという物質が、視点を遠ざけると物や空間に変る。一方部分に眼をやれば光の反射で輝くガラス片が見える。見る人の意識が “物質” と “空間” の間を行ったり来たりします。その “ゆらぎ(※2)” を引き起したくて、絵の具では無く、色を配合する事が出来ない又細かくも作れない、色ガラス片を使って絵を描いています。学生時代にガラスモザイクに初めて出会った時から、その “ゆらぎ” を感じ、以来それは私の心を捉えて離しません。

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 M君が蛍の写真で、見る人に味わってもらいたいのは、目の前の真っ黒な壁(展覧会では大きめの画面に印画して飾っている)が奥行きのある夜の風景に変る、その瞬間の驚きなのでは無いだろうか? 真っ黒い紙の向こうに、突然空間が開けて闇の景色が現れてくる、そのヴィジョンが見えた時の喜びなのでは無いだろうか? と私は思いました。
 彼と会った時間はそんなに長くなく、しかもこちらは仕事中だったのでその辺のところまでは話しは出来ませんでした。本人に訊いた訳ではありません。従ってこれはあくまで私の勝手な憶測です。

 蛍の写真はカメラのファインダーを一晩中空けっぱなしにして撮影するような長時間の作業だそうです。蛍が飛ぶと点は線になり、点滅すると点線に。ゲンジボタルやヘイケボタルなど種類によって、また同じ名前の蛍でも地域によって光り方(点滅周期など)が違うのだそうです。従って黒い画面の白い埃の形も様々でした。
 今回もパリに帰ったら展覧会を開くと言っていました。




※1 M君は日本の美術学校の時からの友人でフランスに留学してからも同じ学校に通っていました。1年か2年後輩でしたが、気が合ったというか、話しを始めると止まらなくなって、気がつけば大通りに面したキャフェテラスで何時間も話し込んでいたなんてことが、幾度もありました。彼は私の知らない事を沢山知っていて、話が面白いのです。会話をすることでお互いの考えが深まるとてもいい関係です。 私が帰国してからも、彼が日本で仕事をする機会が何度かあって、そう云うときは必ずと言っていい程会って話しをしました。夜に会って、話し始めたらいつの間にか朝になったなんてこともありました(その頃は若くて体力がありました)。今は何年かに一回しか会えませんが、時間にゆとりがあれば何時間か話し込んでしまうでしょう。それは美術に限らず多岐の分野に渡ってのものになる筈です。原発やISISなどに関して話もしたいと思っています。今回は「嫌な世の中になって来たね」と言い合っただけで、それ以上の話はできませんでした。彼のフランス人の奥さんは「日本に来る前、地震が怖くて躊躇した」と言っていました。それに対して、彼と私は全く同じ言葉を返しました。「地震の方がましか、テロの方がましか、どっちかだね」って。嫌な世の中ですね。


※2 昔、印刷屋が発行していたフリーペーパーのインタビューを受けた事があります。 “私の絵画の原点について” みたいな話をしました。中学生の時に親戚の人から油絵の具一式を貰って油彩画を始めた事。そしてある時、窓から見える山を描いていて、山肌に見える木々の色や形がくっきりと見えるのに、豚毛の固くて太い筆では思うようにいかず、 “俺は下手クソだな” とがっかりして椅子から立ち上がって離れてみたら、そこに山の景色がしっかりと描かれていた事。近くで見ていたら唯の絵の具の塊なのに離れて見たら山の景色に変っていたという経験が(その時の驚きと感動が)私の絵画の原点となった。この話をしたらインタビュアーの方がすごく喜んで、プリゴジンという人の “ゆらぎ” の理論を持ち出して共感してくれました。

以下その抜粋
 :モザイクのおもしろさは、「物質が空間」になるところだとOさんは語ります。近くで見るとガラスや石にしか見えないのに離れて見ると空間が現れるおもしろさ。光が乱反射するガラスや大地の色を放つ石からは、物質に宿る命が見えるかのようです。
 私たちは美に触れる時、状況や生活背景、心の状態といったさまざまな座標軸によって感動の波がゆらぎます。自己を探り美を創り出した作家自身のゆらぎにも共振して。
 〈ゆらぎ〉についてはノーベル化学賞受賞者イリヤ・プリゴジンが次のように説いています。『〈ゆらぎ〉が外的なエネルギーの交流によって強化されるときシステムは混沌へと向かうのではなく、より高次の秩序へと進化する』『希望と考えるのは、小さな〈ゆらぎ〉でさえも成長して、全体構造を変えうるからである。それゆえ、個々の活動は無意味なものとして運命づけられてはいない』。この理論は・・・・:

 プリゴジンの理論は良く分かりませんが “ゆらぎ” という言葉は気に入りました。作品を見る時、先ず無機物の美しい石やガラスが眼に入る。次に個々の材料が有機的に組み合わさる事により、素材の材質感とは ”違う質感” を帯びた物が周囲の空間と共に現れる。硬いガラスがふっくらとした食パンの焦げかかった皮に見えたり、切り口から溶けかかってしたたる前のカマンベールチーズに見えたり。あるいはガス台のケトルを沸騰させる青白い炎に、白いガラス片が透明なビニールの反射光に。
 鑑賞者の意識が、現実(石やガラス)と幻覚(描かれたイメージ)の間を行き来する。常に見え方が移ろい、気持ちが “ゆらぎ” 続ける。そう云った作品を作りたいと思っています。

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by mosaiquedodeca | 2016-09-12 18:46 | ガラスモザイクの制作 | Comments(0)

モザイク絵画

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 2〜3年前あたりからガラスモザイクで “絵画” を描くことをやっています。
以前からそれをホームページに掲載したいと思っていたのですが、なかなか出来ませんでした。ようやくUPしましたのでご覧になって下さい。(上の写真はその一部を抜粋しました)アトリエドデカのHP:モザイク絵画

                —雑感—

 油絵のように自在に色を作れたり、筆で細かく描いたり出来ないというのがモザイクの良いところです。油絵具を使えば、見えたものをそっくりに画面に再現することは簡単ではありませんが、充分可能です。自分で言うのも何だけど、私も結構出来ると思います。しかし見えたものをリアルに描くと言っても、17世紀のオランダやスペインのリアリズム絵画(スルバラン等の)などは素晴らしいと思いますが、近年のリアリズム絵画と呼ばれるものに心を動かされることは殆どありません(※)。いわゆる写真的なリアリズムには興味がないのです。それは、“絵画” としての空間が画面に表されていなければ“リアリズム”とは思わないからです。では、絵画の“リアリズム”とは何であるか?・・・を話し始めると長くなるので 《色んな絵画の例を持ち出さなくてはならないし、視覚の原理(脳が空間や物をどのように認識するのか)も説明しなければならなくなるので》 やめます。

 私はちょっと小器用なところがあって、自在に扱える材料を使うと、どうも絵やデッサンがチマチマしてしまってどんどんつまらないものが出来ていくのです。家内からは「せこい絵だ」なんて言われてしまいます。中途半端な写実絵画になってしまうので自分でも嫌気が差すのです。若いうちからそうで、20代後半あたりから写実的な絵はあんまり描かなくなり、壁画あるいは壁画規模の絵を主に描くようになりました。考え方も変わり、「絵画は “構成された四角いオブジェ” である」なんてことを言っていました。もう少し正確に言うと “3次元空間のイリュージョンを構成した四角いオブジェ” なのですが当時は乱暴にそう言っていました。

 壁画を教わったのはパリの国立高等装飾美術学校にいた時で、フランスのアカデミー会員のジャック・デピエール教授からでした。25歳でした。壁画技法で好きになったのはフレスコ画とガラスモザイクでした。フレスコは石灰と砂のモルタルが生乾きの内に描き上げなければならず(後で加筆出来ない)一日に描く面積が限られるので、大きな画面は分割して描くことになります。従ってしっかり下絵を準備してからでないと始められません。ガラスモザイクの壁画は言わずもがなです。壁画をやる様になってからは下絵を準備する事の比重が実際に描く行為よりも大きくなっていきました。油絵でもそうでしたが、一層です。

 描くという行為には官能的な喜びがありますが、画想を練る時は創造する喜びがあります。出来上がりを想像しながら下絵を描くのは、少年時代空想癖のあった私にとってはとても楽しい仕事です。それこそが一番重要な部分と言えるでしょう。私は下絵のすべてを保管しています。小さい落書きのようなものもです。そこには、出来上がった作品よりもより鮮明に、脳の中で何が行われていたかが見えるからです。

 “3次元空間のイリュージョンを構成した四角いオブジェ” を生み出す為の下絵は紙と鉛筆と暇があればどんな時でも出来ます。紙と鉛筆が無ければ頭の中だけでもアイデア自体は作れます。最近は下絵が溜っていて制作に手が回らない状態です。制作はある程度まとまった時間が必要だという気持ちがあって(実際はそんなことないのですが)、中々手が付けられないのです。

 しかし、そろそろ制作したいという気持ちがいっぱいになって来たので、とりとめの無いこの文章を切り上げて、今からアトリエに行こうと思います。制作には目と手の細かい神経を使って脳みそをフルに使います。それは実に官能的な仕事なのです。さあ〜官能にひたるぞ〜。


※ 近年のリアリズム絵画の一部は作者の官能的な喜びは感じますが、芸術の本来の価値である創造性があまり感じられないからです。
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by mosaiquedodeca | 2015-11-20 15:42 | ガラスモザイクの制作 | Comments(0)

苺の表札

 学生時代からの古い友人から、息子さんが家を建てたので表札をプレゼントしたいから作って欲しいと依頼がありました。以前、彼女(女性です)の家にもガラスモザイクを頼まれて作ったことがあります。それは表札ではなく門や玄関扉の脇に葡萄やオリーブをモチーフにした装飾でした。今回は表札なので文字が入ります。
 どんな書体にしたら良いか迷いました。お嫁さんが苺が好きだということで周りは苺の実と葉っぱをあしらって・・・というところ迄は決まりましたが、どんな書体が良いかは中々決まりませんでした。そこでパソコンの中のフォントリストから捜しました。若いご夫婦なので重厚な感じのものより、少し楽しそうな文字をリストアップしたのが下のものです。
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 この中から最終的に選んだのが下から4番目の書体です。

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 この書体に立体的な解釈を加えて作りました。一本のリボンをひねったり、途中で折り曲げたりして作られているようにしました。リボンの裏と表で色を変えてそれが分かるようにしました。赤と緑を選びましたが、それは苺の実と葉っぱの色とコーディネートさせる為です。
 途中迄出来たところで写真を撮り、葉書にして送りました。デザインは全くのお任せにして呉れて、下絵も作らなくて良いと言われていました。しかし、ちょっと心配だったので、途中で一回見てもらおうと思ったのです。

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      この途中経過の写真を送りました

 すると直ぐに電話がかかってきました。少し焦った感じの声で「まだ間に合うよね? 大丈夫だよね?」。どうしたのかと思ったら、実は「KAMETA」ではなく「KAMEDA」という名前だと言うのです。作り始める前にもその点が心配で、電話で確認していたのですが、何か行き違いがあったようです。私はすっかり「TA」の方だと思い込んでいました。実際、彼女の事は40年近くそう呼んでいました。他の人もそう呼んでいると思っていましたが、良く考えるとそうじゃ無かったのかも知れません。改めて発音してみると、気をつけて聞かないとどっちで言っているか良くわからないみたいです。それはともかく、勿論手遅れなんてことはありません。貼付けてある訳ではないので、直ぐに作り直しました。そして完成したのが下の写真です。

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 葉っぱの緑の中に、苺が7粒配置してありますが、その内2粒は貼付けてありません。それは設置の為に敢えて完成させなかったからです。

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 設置は次の手順でやります。

1、外してある苺の中央部に穴が空けてあり、そこに穴あけドリルを差し込んで設置場所の壁に穴を空けます。(二カ所あります)
2、空いた壁の穴にネジ(今回は、雨は当たらない場所ですが屋外なのでステンレスネジ)を差し込んで表札を壁に固定します
3、ネジの頭の上から、接着剤で苺を貼付け、固まったら隙間に目地材を詰めて終了です。

今回の家は遠方にある為、息子さん自ら付けてもらう事になりました。聞けば工作好きの方だというので、上の写真入りの説明書と材料を添えてお送りしました。しばらくしたら友人から電話があり、設置した写真を送ってきたそうです。お嫁さんもとても気に入ってくれたそうで、喜んでおられるとの事。良かったです。
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by mosaiquedodeca | 2015-07-17 19:29 | ガラスモザイクの制作 | Comments(0)
 草津のホテルのマスコット、ナウリス君の第二弾が完成しました。白樺林の中のナウリス君です。この林はベルツの森と名付けられた所の白樺林なので題名は「ベルツの森とナウリス君」に決まりました。
※ 前の「ベルツの森教会とナウリス君」は長過ぎるので「教会とナウリス君」になりました。


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       原画です

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       制作途中

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       ホテルの名前も入れて出来上がりました

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       目地を入れて完成です
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by mosaiquedodeca | 2015-04-12 19:56 | ガラスモザイクの制作 | Comments(0)
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 ガラスモザイクの体験講座で毎年の年末年始にお世話になっている草津のナウリゾートホテルですが、今年の正月でもう6回目でした。3回目くらい迄は期間が2週間ありました。2週間も居ると暇な日があります。そんな時に、ふと思いついてホテルのマスコットの「ナウリス君」をモザイクにしました。それを見た、体験講座の企画者の萩谷さん(ホテル内の竹久夢二ギャラリーの)から、ホテルに寄付して欲しいと言われて置いて帰ったのが、額装されてロビーに飾られています。

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 このナウリス君のモザイクは、結構お客さんに見られていて、2〜3年前に同じ物を作って欲しいと注文を受けました。下の文字の部分を省いてナウリス君だけを作ってほしいという依頼でした。ホテルと何らかの関係をお持ちの方かはお訊きしなかったのでわかりません。ただ単にこのマスコットが好きなだけなのか知れませんね。ナウリス君はけっこう人気者のようで、ぬいぐるみが売店に置いてあったりするくらいですから。

 今回、ホテルからこのナウリス君をモチーフにした連作を作って欲しいという依頼を受けました。草津から帰って直ぐに2枚原案をつくりお送りしました。「白樺林の中のナウリス君」と「ベルツの森教会とナウリス君」という題名の2点です。それで最初に作ったのが上の「ベルツの森教会とナウリス君」です。「ベルツの森教会」というのは、ホテルの結婚式場で門を入ったところの通路の左側に建っています。

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       ベルツの森教会

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 上は原画ですが、お気づきでしょうか? 後ろの右耳がありません。マークを新しくしたのだそうです。以前のマークは複雑すぎるので、平面的なシルエットだけにしたのだそうです。今は印刷物などすべてがこのバージョンになっています。僕としては若干作りやすくなりましたが、以前の方が可愛かったんではないか?・・・と思っています。しかし、封筒やレジ袋など他の物に付いているマークと統一しないといけないので新バージョンで作りました。

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     製作中

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       目地入れ前


 今後、白樺林、スキー、温泉など色んなバージョンのナウリス君を作り続けて、ホテルのあちこちにナウリス君がいっぱい居るようになります。ホテルを訪れる事がありましたら、捜してみて下さい。

 また次が出来たらご報告します。
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by mosaiquedodeca | 2015-02-16 10:12 | ガラスモザイクの制作 | Comments(0)
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出来上がったモザイク画を基底材(軽量化するため今回は木製パネル)に貼付けました

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   額装したところ

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制作時の写真では下絵の白い紙が、ガラスの隙間から覗いていたり、透明色ガラスの下に透けていたりしましたが、貼付けるとこのように落ち着きます

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   オレンジ色の海パンの男の白い犬の影を付け足しました

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     施設の方が設置後の写真を送ってくださいました(上は七夕飾り)
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by mosaiquedodeca | 2014-07-11 13:48 | ガラスモザイクの制作 | Comments(0)
 山梨県にあるデイサービスの施設からモザイク画の注文を受けました。送って頂いた写真を拝見したら、この施設の内部は、振り子時計が壁に掛かっていたり、風景をモチーフにしたステンドグラスが設置してあったり、とても良い感じの空間になっています。利用者の年代を考えて、昭和の雰囲気にしてあるのだそうです。
 お話を頂いてから、どのようなモザイク画が良いかしばらく考えました。「昭和のノスタルジー」というキーワードで考えてみました。最初は、山梨と言えば山間部なので里山の景色が良いのではないか、例えば棚田の景色とか・・・を考えました。しかし、近隣の風景に似たような絵ではあんまり面白くないのではないか? と思えてきました。山梨なので山の景色・・という短絡的な発想を止めて、正反対の海の景色を考えました。海水浴場の光景は子供の頃のわくわくした気持ち、楽しかった思い出に通ずるのではないか? 晴れた空、強い日差し、上空に浮かんだ白い雲、風に逆らって飛ぶカモメ、カラフルなヨット、白い灯台。ステレオタイプなイメージですが、解放された空間にすることで、晴れやかな気持ちになって頂きたいと思いました。下の絵を描いて施設の方に送ったところ、大変喜んで頂けました。

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      以前作った灯台の風景の小品。これも参考に見て頂きました。

 では、製作の経過を写真に撮りましたのでご覧下さい。

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   先ず、雲とカモメを作ってから、背景の空を作ります。

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   海、灯台、船、ヨットとだんだん下へと作っていきます

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   最後に、ビーチの様子と手前の丘で完成です。

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   雲とカモメ、そして遠くに幽かに見える・・・

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水平線上にもうっすらと見える大型船を入れました。見る人のイメージに寄るのでなんとも言えませんが、私は航海している豪華客船を連想しました。

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by mosaiquedodeca | 2014-06-24 15:07 | ガラスモザイクの制作 | Comments(0)

フランスパン

 フランスパンをモチーフにガラスモザイク作品を作りました。

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 これは前に手掛けていた作品なのですが、途中で挫折していたものです。当初はワインボトル&ワイングラスとの組み合わせで作っていましたが、うまく行かなかった事はお話ししました。ワインボトル&ワイングラスを外してそれで作品を1つ作ったことも書きました。今回は残っていたフランスパンの方を完成させました。
 ワインボトル&ワイングラスのあった所に切ったパンを配置しました。切り口の明るい中身を見せないと、何だか黒こげの真っ黒なパンの様に見えてしまったからです。 “食べると苦いんじゃないか?” って思わせる様な色で、“こりゃーまずい(不味い)”と思って焦げていない明るい切り口を見せました。これで何とか、焦げ過ぎたパンでは無く、皮が硬い中身の詰まった重たい(私の好きな)フランスパン(※下記:フランスパンについて)になったのではないかと思います。


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下の写真は当初の作りかけの作品です。上部のワインボトル&ワイングラスで作ったのは右上の作品(紹介済み)。1つの失敗作から2つの作品が出来ました


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今回の作品が最初に完成した時は左のようでした。パンの下に敷いていた白い紙(パンの入っていた白い袋を縦に切り裂いたもの)を広げていたのですが構図が右下がりになってしまったので作り直しました。修復する部分のガラスチップを、タガネを当てて金槌で叩き割って剥がしました。強力な接着剤でくっ付けていますからちょっと大変でした。


※フランスパンについて
 フランス人は皮のパリパリしたパンが大好きです。私も好きですが、彼等はちょっと感覚が違います。キャフェやホテルあるいは自宅で朝食をとっているフランス人を見た事がありますか? 彼等の朝食はこんな感じです。小さめのどんぶりみたいなボールにコーヒーと暖めた牛乳を左右から同時に半分くらいづつ注いぎます(つまりカフェ・オ・レを作ります)。そして、フィッセル(紐という意味)という細いパンを縦に半分に切って人差し指と中指で中身の柔らかい部分を掻き出します。なんとそれはテーブルの上に捨て置いて食べません。彼等が食べるのは外側のパリパリした皮の部分のみです。それにバターを塗ったりジャムを塗ったりして食べます。
「この皮が美味しいんだよ」と言って、パリパリ・カリカリ食べます。煎餅を楽しむ感覚でしょうか? 私も好きで、美味しいと思いますが、彼等と同じ様に食べているとちょっと困った事になります。皮が硬すぎてそれが口の中を傷だらけにするのです。コルニッションという酢漬けのきゅうり(ピクルス)を一緒に食べると飛び上がります。傷に染みて痛くて堪らないのです。どうして彼等は平気なのでしょうか?口の中が傷つかないのか?と不思議でしょうがありません。
 彼等の食事を見ていると、だんだん彼等が、ガラパゴス諸島の陸イグアナに見えてきます。硬い刺だらけのサボテンを主食にしている、あのイグアナです・・・。
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by mosaiquedodeca | 2014-02-10 14:48 | ガラスモザイクの制作 | Comments(0)

パンとワイン3

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 以前、パンとワインをモチーフにガラスモザイク作品を作りました。今回また同じテーマで新作を作りました。しかしこの作品は、実はリサイクル?作品です。というのは、元々違う作品の一部から生まれた作品だからです。
 最初は下の作品を作っていました。しかし、途中で断念しました。パンとワインのボトル、そしてワイングラスを組み合わせた作品だったのですが、周りの色がどうしてもうまく行きません。
 ガラスモザイクは絵具の様に自由に色を作れません。持っているガラスの中から選んで使うしかないのです。フランスパンの皮の部分はパリパリ感を出したかったので、硬い感じの金属質(銅粉〈のようなものかも〉を練り込んだキラキラと反射する)のガラスを使いました。ところが・・・・

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 周りの部分がどんな色を入れてもしっくりいきません。明るくすると焦げ過ぎたパンの様になって美味しそうではありません。暗い色もダメでした。グレイも茶色も紫もみんなしっくりいきません。そもそもワイングラス&ボトルとの組み合わせが悪いんじゃないか?と思って外しました。

 さて、外したグラスとボトルのセットを使って何か作品が作れないだろうかと考えて制作したのがこの作品です。その制作過程をご紹介します。

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縦長の小品にしました。下が大きく空いてしまうので、パンの切り口が見える様に置いてみました。切り口の部分はパンの中身の柔らかさを出せる様に、キラキラでは無く優しい色合いと柔らかな質感のガラスを使いました(※)。

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コルク栓をころがして、後は周りを埋めます。薄緑色にしましたが、これもキラキラ系の色です。キラキラ系の色は練り込みガラスなので、部分によって色が違います。個体差が結構あるので選びながら配置して行きます。

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明るいパンの切り口の周りは暗めの色を選んで、パンの皮の周りは明るめの色を配置しました。

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     ほぼ出来上がってきました。


 さあて、残ったパンの方はどうしたものか、只今思案中です。

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 パンとワインの作品は東京銀座で他の作品と一緒に(全部で7点の小品です)展示いたします。

第40回 朝の会展
2013,11,21(木)〜24(日)まで
AM10:00〜PM6:00(初日は1:00から最終日は5:00まで)

 私は「朝の会」の創立メンバーなのですが、絵を描けない時期があったりして、退会していました。今回はゲスト出品ということで展示することになりました。銀座に絵を並べるなんて何十年振りでしょう。沢山の油絵と一緒に飾られてどんな感じになるのか怖くもあり楽しみでもあります。


※ この種類のガラスタイルは角砂糖のような、あるいはザラメのような質感を持ったガラスです。粉々に砕いた色ガラス(カレットと言います)を配合して色合いを作り、それを暖めて溶かし、冷まして固めて作っています。しかし、溶かし切らない様に加熱してあるので、つまり途中まで溶けたところで固めるのでザラザラの質感が残ります。色んな種類の(色)カレットを均等に混ぜるので一回の製造では色合いがほぼ均等になり個体差は生まれません。私はこの種類のガラスタイルの事を「ザラメ」と呼んでいます。
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by mosaiquedodeca | 2013-11-18 07:29 | ガラスモザイクの制作 | Comments(0)

ツバメ

 今年の春に表札を設置した、TANIGUCHI邸の玄関ドアにモザイクを貼付けました。このドアには菱形の小さな窓が三つ縦に並んで付いています。上と下の窓にはガラスが入っていますが真ん中だけタイルが埋め込まれています。そのタイルに代えてガラスモザイクを施して欲しいという注文でした。
 6月頃だったでしょうか、それが出来たので設置に伺いたいとメールをしたところ、意外な返信メールが返ってきました。「実は玄関先にツバメが巣をつくり、卵を暖めていて・・・」 つまりツバメを驚かしたく無いので、大きな音をたてたり振動を与える(ドリルを使ったりして)ような作業は・・・という心配をしていらっしゃるということでした。

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 ツバメと言えば、私が子供の頃実家に毎年来ていました。玄関先・・というよりは、中に(田舎の家は玄関も広くて5〜6畳の立派な部屋でした)巣を作る事もありました。柱に取り付けてある電気のメーターの上に作りました。そうするとその下は白い糞で大変な事になりました。その付近には靴を置けませんでした。それを回避しようと玄関の軒にツバメが巣を作り易いよう板の棚を設置したこともありました。
 このツバメの訪問が、ある年を境にしばらく途絶えたことがありました。それはどうしてかと云うと、どこからどうやって辿り着いたのか一匹の蛇が卵を取りに巣に登ってしまったのです。青大将だったと思いますが、それ程大きい蛇ではありませんでした(マムシくらいでしょうか)。発見した蛇は退治しましたが、まだ卵は残っていたのにその後親ツバメが育児放棄をしてしまったのです。それ以来何年かの間家にはツバメが来ませんでした。大人の弁によると、前の年にそこから巣立ったツバメが新たな番となって帰って来るのだということでした。だから翌年には来ないというのです。そう云えば巣自体も前の年のものを修理して使い回しをしていたように思います。

 さてTANIGUCHI邸ですが、ドリルを使う予定はありませんでした。しかし、なるべく邪魔をしたく無いので(知らない人間が長時間そこで作業をしたら警戒するかも知れません)無事巣立ったら連絡してくださいと伝えておきました。そしたら9月の末頃にそれが巣立ったので設置が出来ると連絡が入りました。10月は台風が多くて行きそびれていたのでとうとう月末になってしまいましたが、取り付けに行って来ました。


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 設置前と設置後、雰囲気が明るくなりました。

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 ツバメの雛はぴいぴいととても賑やかしい(うるさいとも言える)です。巣から大きな黄色い口を広げて “ぴいぴいぴいぴい!” 。親ツバメが虫か何かをくわえて帰ってくると我先に餌を貰おうと必死で鳴きます。 暫くそういう時を経て、ようやく巣立つと、今度は静まりかえって、なんだか祭りの後の様に寂しく感じたものでした。

 コンスタティン・ブランクーシ(※)の彫刻に「新生」という作品があります。これは人間の赤ん坊の頭(顔)らしき卵形の塊の作品なのですが、その一部が削ぎ落とされ、楕円形の切り口があります。その切り口の端の一部が削られずに残されています。削ぎ落とされたような縦長の楕円形の切り口が大きく開いた口に見え、残された部分がへの字の形の下唇に見えます。それがまるで赤ん坊の大きな泣き声が聞こえるくらいの激しい泣き顔に見えるのです。
 この彫刻を見た時私は、「赤ん坊というのは、とにかく “口” だけの存在なのだ」と云う事を思い出しました。蜜柑が大好きな赤ちゃんに、皮をむいて、袋を裏返しにして食べさせた時のことを思い出しました。蜜柑に食い付き、私の指に吸い付く、その開かれたくちびるは、ツバメの雛の口のようでした。いくら与えても、与えても、休むこと無く唇を開いて突き出す。私は交互に食べるつもりでしたが、結局自分が食べる暇なく与え続けたのでした。その時、赤ちゃんは「存在の殆どが “口” なのだ。“口”でしかないのだ」ということを感じました。彼女と私はこの“口”で繋がっているのだと思いました。全身全霊をかけて大きく口を開けて泣き、同じく大きく口を開けて食べ物を求める。何れの場合も、口から外の世界に繋がっているのです。私には、開かれた口から親への(保護する者への)元に、命の鎖が伸びているように見えました。小さくて無力な存在が、唯一生き延びる為に行える行動が大きく口を開けること、大きく声をあげること。運良く生き延び、成長し、やがて生み、育て、守る側になる。ブランクーシのこの作品には、その命の連鎖の一場面の光景が見事に彫刻されているように感じました。


※ コンスタンティン・ブランクーシ(Constantin Brâncusi) (1876年2月19日〜1957年3月16日)は、ルーマニア出身の20世紀を代表する独創的な彫刻家である。20世紀の抽象彫刻に決定的なな影響を与え、ミニマル・アートの先駆的作品も残した—ウィキぺディア。   20世紀では私の最も好きなの彫刻家です。シンプルで無駄な部分が無く、それでいて抽象ではありません(私の個人的な意見)。あくまで “物” の形を表していて、その本質のみを表現しています。本能に訴えかける形で、私はそれらを「神話的な作品」と感じています。 興味のある方はネットで画像検索をしてみて下さい。検索では出て来ないかも知れませんが、私は「フライイングタートル(飛ぶ=泳ぐ亀)」「手」「慎み(題名が違うかも知れません)」などという作品が特に好きです。
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by mosaiquedodeca | 2013-11-01 17:56 | ガラスモザイクの制作 | Comments(0)