猫
2008年 10月 27日
モザイクには大きく分けてローマンモザイクとフローレンスモザイクという手法があるそうです。私達が一般にモザイクと言っているのはローマンモザイクの手法で作られたもののことです。ローマンモザイクと云うからには勿論ローマ時代に多く作られました。しかし、ビザンチン時代に作られたガラスモザイクもローマンモザイクの手法で作られています。小さなピースを沢山並べて絵を描くやり方なので大きな作品も作れますし、ピースを細かくして精密に作ることも出来ます。18〜9世紀に作られたものには絵(フレスコ画や油絵)なのかモザイクなのか区別のつかない位精巧なものがあります。では、フローレンスモザイクの手法とはどんなものかと云いますと、小さなピースを並べて物の形を表現するのでは無く、薄い平な石などを物の形に切り分けて絵を描いてゆくというやり方です。色々な形の石1枚1枚がそのまま物を表現しているという訳です。タッチで絵を描くのでは無く、色面で絵を表現するやり方です。フローレンスと云うのはイタリアのフィレンツェのことですから、ルネッサンス時代にフィレンツェで作られたモザイク画のことです。
今年の夏に猫の顔をモチーフにモザイクの小品を沢山作りました。6cm×4cm位の小さな作品なのであまり沢山のピースが使えません。必然的にフローレンスモザイクの手法を取ることになりました。例えば目は黒目と白目(猫の場合は白では無いですが)の3つのピースで、ひげは細い線状のピースで左右2本ずつとか、かなりの省略法です。おまけに顔の輪郭は一切作らず、画面いっぱいに目鼻が嵌っているという具合で、必要最小限のピースで表現しました。しかし、たったこれだけの要素で作っても沢山のバリエーションが出来るので面白くてハマってしまいました。
顔の表情は少しいじるだけで大きく変化します。猫の目は人と違って、黒目が縦のスリット状になっていて、それを横に広げるか狭めるかで目に入る光量を調節している訳ですが、黒目の幅を大きくすれば親近感を持った表情になり、細くすれば緊張した顔になります。さらに、逆三角形にすれば下から睨みつけるような険しい顔になります。勿論、目をつり上げれば怒った顔になりますし、細めれば訝しがっているような顔になります。また、目を大きくして髭と目の感覚を詰めれば子猫の顔になります。逆に感覚を広げれば成猫になるという訳です。
色んな顔を作りましたのでご紹介します。お宅の猫に似た猫はいますでしょうか?
因みに最後の猫は、色は違いますが表情は以前家で飼っていた猫に似ています。とても気の強い猫で犬も怖がる位の大物でした。近所の子供達から猫大将と呼ばれていました。
by mosaiquedodeca
| 2008-10-27 07:50
| ガラスモザイクの制作