ハサ木のある風景 2
2012年 05月 19日
ハサ木のある風景が完成しました。
田植えの終わった後の風景です
前回稲をハサ木に掛ける作業は夕方頃からと書きました。今回はその作業の手順を思い出しながら書いてみます。稲は大体7〜8センチ位の直径に頭(刈り取った切り口から15センチ位の所)を束ねてあります。藁で括ってあるのですが、その結び目の下を2つに分けて縄に(ハサ木の間に水平に渡した)股がらせて掛けます。下から順番に掛けて行くと、穂先(穂は稲わらの先半分位まで付いています)だけが表面に出ます。下の段は立ったままで掛ける事が出来ますが、上の方は梯子に登って掛けます。それは1人では出来ませんので2人で組んでやります。中段くらいは1人が梯子に登って1人が下から手渡します。上段の方になると、下にいる人が稲束を投げて、梯子の上の人が空中でキャッチして縄に掛けます。私はいつも下から投げる係で、梯子には父親と兄が登っていました。梯子の上の人が手を伸ばした場所にきちっとタイミング良く投げるのはちょっとしたテクニックです。勢いがあり過ぎたり、足りなくて届かなかったりすると怒られます。梯子の上では体の自由が効かないので、変な所に投げると危険なのです。左手を稲束の結び目あたりにそっと添えて、右手で穂の部分を掴んで上に放り投げます。この作業で困ったのは、稲を投げる時に穂が手首を傷つけて赤く腫れることでした。軍手を嵌めていてもシャツと軍手の隙間に穂が入り込んで手首の辺りに当たるのです。それが昼間学校に居る時でも痒いのでした。
稲を全部掛け終わると辺りはもう真っ暗でした。私が一番好きだったのは帰り道です。トラクターの荷台(トラクターの後ろにリヤカーを大きくしたような荷台が括り付けられていました)に乗って帰るのですが、大体は稲が山ほど積まれています。既に乾燥済みの稲をハサ木から降ろしたものが荷台に積んであるのです。落ちないようにロープを掛けて縛ってあります。そのロープをを掴んでよじ登り、てっぺんで仰向けに寝っ転がって、落とされない様に後ろ手でロープを掴み、揺られながら帰るのでした。その時に見た満天の星は今でも忘れられません。 “星降る夜” という言葉がありますが、この言葉は流れ星のことを言ってるのでは、多分、ありません。あまりに沢山の星が輝いていて、落ちて来そうなのです。ちょっとジャンプしたら手が届きそうな感じがしました。ゴッホの絵に星がグルグルしてるのがありますが、あんな感じで気が狂いそうになるくらい煩い光でした。あんな星はもう日本では見られないのでしょうね。
私の記憶ではもっと上の方まで稲を掛けていました。これはちょっと低いですね
(写真は「ユウスケのカメラ散策」:yusuke001.exblog.jp より)
PS:私が絵描きになりたいと決意した頃、祖父から「このハサ木はもうじき無くなるから、絵に描いて残してくれ」と云われました。しかし、当時はうまく構図が取れないと思い、一度も描きませんでした。何十年も経ってから、期せずして約束を果たした?(スケッチもしないで記憶だけの絵で、しかもモザイクですが)事になります。
前回稲をハサ木に掛ける作業は夕方頃からと書きました。今回はその作業の手順を思い出しながら書いてみます。稲は大体7〜8センチ位の直径に頭(刈り取った切り口から15センチ位の所)を束ねてあります。藁で括ってあるのですが、その結び目の下を2つに分けて縄に(ハサ木の間に水平に渡した)股がらせて掛けます。下から順番に掛けて行くと、穂先(穂は稲わらの先半分位まで付いています)だけが表面に出ます。下の段は立ったままで掛ける事が出来ますが、上の方は梯子に登って掛けます。それは1人では出来ませんので2人で組んでやります。中段くらいは1人が梯子に登って1人が下から手渡します。上段の方になると、下にいる人が稲束を投げて、梯子の上の人が空中でキャッチして縄に掛けます。私はいつも下から投げる係で、梯子には父親と兄が登っていました。梯子の上の人が手を伸ばした場所にきちっとタイミング良く投げるのはちょっとしたテクニックです。勢いがあり過ぎたり、足りなくて届かなかったりすると怒られます。梯子の上では体の自由が効かないので、変な所に投げると危険なのです。左手を稲束の結び目あたりにそっと添えて、右手で穂の部分を掴んで上に放り投げます。この作業で困ったのは、稲を投げる時に穂が手首を傷つけて赤く腫れることでした。軍手を嵌めていてもシャツと軍手の隙間に穂が入り込んで手首の辺りに当たるのです。それが昼間学校に居る時でも痒いのでした。
稲を全部掛け終わると辺りはもう真っ暗でした。私が一番好きだったのは帰り道です。トラクターの荷台(トラクターの後ろにリヤカーを大きくしたような荷台が括り付けられていました)に乗って帰るのですが、大体は稲が山ほど積まれています。既に乾燥済みの稲をハサ木から降ろしたものが荷台に積んであるのです。落ちないようにロープを掛けて縛ってあります。そのロープをを掴んでよじ登り、てっぺんで仰向けに寝っ転がって、落とされない様に後ろ手でロープを掴み、揺られながら帰るのでした。その時に見た満天の星は今でも忘れられません。 “星降る夜” という言葉がありますが、この言葉は流れ星のことを言ってるのでは、多分、ありません。あまりに沢山の星が輝いていて、落ちて来そうなのです。ちょっとジャンプしたら手が届きそうな感じがしました。ゴッホの絵に星がグルグルしてるのがありますが、あんな感じで気が狂いそうになるくらい煩い光でした。あんな星はもう日本では見られないのでしょうね。
私の記憶ではもっと上の方まで稲を掛けていました。これはちょっと低いですね
(写真は「ユウスケのカメラ散策」:yusuke001.exblog.jp より)
PS:私が絵描きになりたいと決意した頃、祖父から「このハサ木はもうじき無くなるから、絵に描いて残してくれ」と云われました。しかし、当時はうまく構図が取れないと思い、一度も描きませんでした。何十年も経ってから、期せずして約束を果たした?(スケッチもしないで記憶だけの絵で、しかもモザイクですが)事になります。
by mosaiquedodeca
| 2012-05-19 06:14
| ガラスモザイクの制作