中学生のハローワーク
2012年 02月 03日
村上龍の「13歳のハローワーク」という本の話は聞いたことがあります。読んでいないので詳しいことは分かりませんが、いろんな職業についてのガイドブックのようなものらしいということは知っていました。この本はけっこう反響を呼んだようで、今や中学校でそういう授業が設定されています。それを何で知ったかというと・・・実は・・仰天!なんですが、なんと私がその相談員というのをやったからです。知り合いの中学校の美術の先生に頼まれました。しかし、“何でこの私が?”って思いました。だって、私のやっていることは “職業” になっているのかどうかさえ分からないのですから。確かに多少食えた時代もありました。でも、それはバブルの頃のほんの一時の話で 、それ以外はコンスタントには仕事が無いからです。今は色んな事をしてどうにか食いつないでいる状態です。 “こんなんでもいいの?”って聞いたら、色んな職業の人が必要なのだそうです。その内の一つ “「芸術家」という枠で誰かを紹介して欲しい” と校長先生から頼まれたということでした。人を捜すのに苦労している様子でした(そりゃあそうですよね、滅多にいませんよね)。それじゃあ「表現活動」をしている人の代表ということで、 “芸術じゃ食えないよ” っていうことをインフォーメーションすればいいか、と思って引き受けることにしました。
マンションのエントランス
中学一年生が対象だったのですが、皆キチンと礼儀正しく色んな質問をしてくれました。それらに一つひとつ答えていたのですが、途中から何だか変なことになってきました。それは、「給料はどのくらいですか?」とか『休日はどのくらいありますか』等と云う、いかにも中学生らしい質問が出たあたりからです。あたり前ですが、窮極の自営業なので、給料も休日もありません。気が付くと、質問にはまったく答えていないのです。そもそもお金を得るのが目的で始める仕事では無いので、それを説明するために「人は何故表現活動をしたくなるのか?」というところから話してしまいました。「音楽でも文学でも美術でも、1人の人間が表現することにはたった一つのテーマがあって、生涯掛かって同じテーマについて、違う角度から光を当てながら、繰り返し作品を作るのです」なんてことまで口走っていました。中学生には難しかったかも知れませんが、話の流れで色んなことを話しました。もはや職業紹介ではなくなっています。最後は「もし何かどうしてもやりたいことがあったら是非怖れずにやってください」みたいなことを言いました。その前にさんざん芸術は食えないということを言ったので、“それも覚悟の上でね”ってことは伝わっていると思いましたから。まあ、果たして私の話など参考になったのか? 中学生の為になったのか? とても疑問です。しかし、世の中にはへんなおじさんもいるんだということを知って、想像し得る “生き方の幅” を広げるのにちょっと役立ったらいいかなと思っています。
「芸術家」のくくりの中で「ガラスモザイク工芸作家」という肩書きで行きましたので、ガラスモザイクの実物作品と、建築に施工した作品の写真を持っていきました(上の写真はその一部です)。それ等は結構興味を持って見てくれた様です。作るのにどれくらい時間が掛かるのか? とか技術的に難しい点はどこか? などの質問もありました。10人くらいの生徒が2組、30分くらいづつ時間が取ってありましたが、あっという間に過ぎました。
私にとっては、晴天の霹靂ともいうべき(想像だにしなかった)「ハローワークの相談員」になってしまったという体験記でした。
以下は資料として見せた、他の建築装飾作品写真
病院の浴室
小学校のエントランス
公園の噴水
中学一年生が対象だったのですが、皆キチンと礼儀正しく色んな質問をしてくれました。それらに一つひとつ答えていたのですが、途中から何だか変なことになってきました。それは、「給料はどのくらいですか?」とか『休日はどのくらいありますか』等と云う、いかにも中学生らしい質問が出たあたりからです。あたり前ですが、窮極の自営業なので、給料も休日もありません。気が付くと、質問にはまったく答えていないのです。そもそもお金を得るのが目的で始める仕事では無いので、それを説明するために「人は何故表現活動をしたくなるのか?」というところから話してしまいました。「音楽でも文学でも美術でも、1人の人間が表現することにはたった一つのテーマがあって、生涯掛かって同じテーマについて、違う角度から光を当てながら、繰り返し作品を作るのです」なんてことまで口走っていました。中学生には難しかったかも知れませんが、話の流れで色んなことを話しました。もはや職業紹介ではなくなっています。最後は「もし何かどうしてもやりたいことがあったら是非怖れずにやってください」みたいなことを言いました。その前にさんざん芸術は食えないということを言ったので、“それも覚悟の上でね”ってことは伝わっていると思いましたから。まあ、果たして私の話など参考になったのか? 中学生の為になったのか? とても疑問です。しかし、世の中にはへんなおじさんもいるんだということを知って、想像し得る “生き方の幅” を広げるのにちょっと役立ったらいいかなと思っています。
「芸術家」のくくりの中で「ガラスモザイク工芸作家」という肩書きで行きましたので、ガラスモザイクの実物作品と、建築に施工した作品の写真を持っていきました(上の写真はその一部です)。それ等は結構興味を持って見てくれた様です。作るのにどれくらい時間が掛かるのか? とか技術的に難しい点はどこか? などの質問もありました。10人くらいの生徒が2組、30分くらいづつ時間が取ってありましたが、あっという間に過ぎました。
私にとっては、晴天の霹靂ともいうべき(想像だにしなかった)「ハローワークの相談員」になってしまったという体験記でした。
以下は資料として見せた、他の建築装飾作品写真
by mosaiquedodeca
| 2012-02-03 09:45